青虫の恩返し

十三峠からの下りで舗装道路を走っておりました。
目の前にボトリと青い物体が落ちてきました。
5cm以上の細長い物体。
よく見るとデッカイ青虫だ。
木の上から落ちてきたんだ。
道路の上でモゾモゾと動いている。
そのまま行こうかと思ったが、落ちたところは道路の中央。
彼の、いや彼女かもしれないが、移動速度から考えたら車にひかれる確率が73.62%ぐらいだと思われる。
これは助けてやらんと。
しかし、青虫・毛虫類は頬ずりしたくなるほどの好きな昆虫ではない。
蚕やった頬ずりしていいんですけど。
そこで木の枝を探してきてピンと弾いて草藪へ放り込んだ。
小さな親切やったけどちょっと手荒かったかな。
十三峠を下りきった時点で飲み物がなくなった。
ちょうど万代があったので飲み物を買うことにした。
時刻は昼時、レジは人でいっぱいだった。
仕方ないなあとペットボトルを1本だけ持って並んだ。
すぐ前に工事現場から来たような長靴をはいた兄ちゃんが並んでいた。
ジロジロと後ろを振り返ってこちらを見ている。
なんか、イチャモンでもあるんかいなと思っていたら「先にどうぞ」と順番を譲ってくれた。
なんて親切な兄ちゃんなんや。
兄ちゃんの荷物も大してないのに。
「その気持ちだけで十分です」と丁寧に辞退した。
こんなことは初めてだった。
もしかしてこれが「青虫の恩返し」ですか。
もしかして兄ちゃんは青虫の化身ですか。
刺身を食べチューハイを飲む青虫はいないか。
恩返し、ちっちゃいけれどしっかりと受けとめました。