わたしは見た。

わたしは見た。
確かに見た。

先週の日曜日、「勝手に忍者武術大会」と称して京都山城の山中を走り回った。
ルートは3年前の「忍者武術大会」と同じルート。
山の中の道ではないルートを走る。
主催者が木の枝に結わえた赤いボンだけが頼り。
山中で完全に道も見失った。
赤いリボンがない。
もっとも3年前に結わえられたものなので今もでも健在する保証はなかった。
完全に行き止まりになった。
左へ行っても行き止まり、右へ行っても行き止まり。
この場合、道ではないので木が茂って通れないか、斜面がきつすぎて降りれない。
そんな時、右前方の10m以上先の藪の中で白いものもを見た。
目と口があった。
藪の中ゆえに顔のようなものしか見えなかったが、犬ならば大型犬だ。
犬かと思った。
昔話で山道に迷った旅人が犬に導かれて里まで下りるというような話があったやんか。
やったあ、道があるぞと思った。
でも近づくとその生物も道もなかった。
今のは一体、何だったんだ?
犬でなければ鳥か、
鳥ならば結構な大きさのペリカンぐらいのサイズだ。
白っぽかったし、横顔だけしか見えなかった。
口は大きかったように思う。
足も体も藪に隠れて見えなかった。
ただ、結構な速さで降りて行った。

でも、やっぱり犬かな。
そうやな、犬にしておこう。
その方が悩まんで済むしな。